今回はフィンランドが誇る建築家、アルヴァ・アアルト(Alvar Aalto)とその妻、アイノ・アアルト(Aino Aalto)の功績などを解説していきたいと思います。
彼らは20世紀のデザインと建築に多大な影響を与えた夫妻です。
アアルト夫婦
アルヴァとアイノ・アアルトは、フィンランドの建築とデザイン界で最も尊敬される夫婦です。
彼らは共にヘルシンキ工科大学で建築を学び、1924年に結婚しました。
以降、二人は多くのプロジェクトで協力し、建築やインテリアデザイン、家具デザインにおいて数々の革新的な作品を生み出しました。
アルヴァは主に建築全般を担当し、アイノはインテリアや家具デザインに重点を置くことで、互いに補完し合いながら数々の名作を生み出しました。
アルヴァ・アアルト:革新的な建築家
アルヴァ・アアルトは、1898年にフィンランドのクオルタネで生まれました。
彼はヘルシンキ工科大学で建築を学び、1920年代から活動を開始し、彼の建築は、自然との調和を重視し、木材やガラスといった自然素材を多用することでよく知られています。
例えば、彼の代表作にはフィンランドのパイミオ・サナトリウムやフィンランディア・ホールがあります。
アルヴァの作品には独特な曲線が多用されており、特に「Aalto Vase」はその自由で流れるような形状から、ベースとしても、飾っておくだけでも美しい作品です。
他にも彼らが創設者とともに設立したArtek社から今もなお販売されている椅子やテーブルなどの家具たちは、不朽の名作となっています。
アイノ・アアルト:多才なデザイナー
妻のアイノ・アアルトは、1894年にフィンランドのヘルシンキで生まれました。
彼女もまたヘルシンキ工科大学で建築を学び、アルヴァと結婚後は彼と共に多くのプロジェクトで協力しました。アイノのデザインは、シンプルで機能的な美しさを追求しており、ガラス製品や家具のデザインでも高く評価されています。
アルヴァの「Aalto Vase」をデザインした一方、アイノが1932年にデザインした「Aino Aalto Glassware」は。波紋のような模様が特徴で、現在でもイッタラ(Iittala)によって製造・販売されています。
シンプルでありながら、段状になったガラスの美しいデザインは、どんな食事もどこか特別にし、美しい食卓としてくれます。
グラスや平皿、ピッチャーなどもあり、ぜひまずはグラスから食卓へ取り入れてみてはいかがでしょうか。
共同作業と影響
アアルト夫妻は、多くのプロジェクトで協力し合いました。最も有名なのが、フィンランドのパイミオ・サナトリウムです。
ここでは、患者の快適さを重視した設計が施され、家具や照明も夫妻のデザインによって手掛けられました。
制作時アルヴァとアイノの夫婦の仕事分担は明確に決まっていたと言われています。
アルヴァが建築全般を担当する一方で、アイノはインテリアデザインや家具、照明の設計に集中しました。この分業体制が、彼らのプロジェクトにおける完璧な調和を生み出しました。
まさに家事分担のような完璧な配分で、デザイン以外でも彼らの生きがいには学ぶ点がありそうですね。
アアルト夫妻の功績
アアルト夫妻の影響は、建築やデザインの分野に留まらず、フィンランドの文化そのものに深く根付いています。
彼らの作品は、現在も多くの人々に愛され続けており、まさにフィンランドのデザイン美学の象徴となっています。
アルヴァ・アアルトの遺産を守り、広めるために設立された「アルヴァ・アアルト財団」は、彼の作品や設計図、写真などを収集・保存しています。ヘルシンキには、アルヴァ・アアルトの設計した自宅兼スタジオが公開されており、彼のデザイン哲学を間近で感じることができます。
日常にある「アアルトデザイン」
アアルト夫妻のデザインは、シンプルでありながら機能的な美しさを持っています。彼らの家具やガラス製品は、現代の生活空間にも自然と溶け込みます。
例えば、アルヴァ・アアルトがデザインした「Aalto スツール60」です。このスツールは、三本脚のシンプルなデザインでありながら非常に頑丈で、多用途に使える便利なアイテムです。特に、積み重ねが可能なため、収納にも場所を取らないという実用的なメリットがあります。
これまでご紹介してきたデザインの他にも、照明やグラス、小物、空間の使い方そのものに、彼らのシンプルでかつ機能性の高いデザインがあります。
使いやすく、また見た目としても美しく、インテリアのアクセントとなると思います。
普段の生活をより一層豊かにしてくれるデザインたちなので、ぜひ一度、アアルト夫妻の作品を手に取って、その魅力を実感してみてください!